通学免許にするか合宿免許にするかで迷っている方の中には、ネットで「合宿免許は合格基準が甘い」とか「合宿免許の卒業生の事故率が高い」という話を目にして不安を感じている方がいるかもしれません。
実はこれらは根も葉もない噂なのですが、どうしてこのようなことが言われているのでしょうか?
今回は、どうしてこのような噂が立ったのか、そしてこれらが真実ではないという理由などを中心に紹介します。
合宿免許は「合格基準が甘い」「事故率が高い」という噂が立った背景
ネット上には、合宿免許は「合格基準が甘い」とか「事故率が高い」という噂があります。
どうしてこんな噂が立ったのかについては2つの背景がありますので、以下で、それぞれについて説明します。
背景1:料金が安く短期間で卒業させる必要があるから
合宿免許は通学免許に比べて教習料金が安く設定されており、最短14日間という短い期間で卒業することができます。
このことから、教習料金が安いので、利益を出すために次々に教習生を入校させる必要があり、合格基準を甘くしてどんどん卒業させていると思われている可能性があります。
背景2:短期間で知識や技術を詰め込むから
合宿免許は最短14日間で卒業できるため、知識や技術がきちんと身に付いていない者を卒業させているのではないかと思われている可能性があります。
通学免許では、同じ内容をもっと長い期間をかけて教習していますので、2週間程度で本当に大丈夫なのかという疑問がわくのではないかと考えられます。
ただのイメージにすぎない?噂は真実ではないと言える3つの理由
ネット上に流れている、合宿免許は「合格基準が甘い」とか「事故率が高い」という噂は真実ではありません。
その理由について、以下で順に説明します。
<理由1>教習所や教官の評判が悪くなるから
合宿免許の場合、学科試験は卒業後に運転免許センターなどで受験しなければなりません。
もし、きちんとした知識が身につかないまま卒業させてしまうとその合宿免許を受けた受験生の合格率が低くなってしまいますし、運転技能が不十分なまま卒業させると卒業後に事故を起こす可能性が高くなります。
そうすると、その教習所や教官の評判が悪くなってしまいますから、合格基準を甘くするようなことをするはずがありません。
<理由2>教習所が利益を出したいならば、むしろ教習を引き延ばすはずだから
確かに合宿免許の教習料金は安いのですが、もし仮免などで不合格になった場合は、追加の教習料金を支払わなければなりません。
つまり、教習所としては、何らかの理由で教習を引き延ばして追加料金を支払ってもらった方が利益が出るはずなのですが、そのようなことをしている教習所はありません。
<理由3>短期間で集中して行った方が運転技術が身に付くケースがあるから
合宿免許では毎日教習がありますので、集中力を維持しながら効率的に運転技術を習得することができます。
特に、実技教習は身体の感覚で覚える部分もありますので、毎日教習を受けることが上達につながることは十分考えられます。
そもそも合宿免許の方が事故率が高いというデータはあるのか?
ネット上の噂の一つに「合宿免許の卒業生の事故率が高い」というものがありますが、そもそもそれを裏付けるデータがあるのでしょうか?
答えは「No」で、「通学免許の卒業生」と「合宿免許の卒業生」に分けた事故率のデータは存在しませんので、この噂自体が真実ではないと考えて間違いありません。
運転初心者のよくある事故原因とは?
「運転初心者」とは、運転免許を取得して1年未満の人のことで、道路交通法では「初心者マーク」の表示が義務付けられています。
当然ですが、ベテランドライバーよりも運転初心者の方が事故を起こす割合は高くなっていますが、その根本的な原因は運転に慣れていないことによります。
警察庁の資料「交通事故の発生状況」によれば、「運転初心者」は、追突事故、夜間の事故、カーブ時の衝突事故の3つが多いということですので、それぞれについて説明します。
【1】追突事故
意外ですが、「運転初心者」はスピードを出しがちで、前の車との車間距離が短くなる傾向があるそうです。
前の車との車間距離を見誤り、ブレーキを踏むタイミングが遅れて追突事故につながるケースがあります。
【2】夜間の事故
夜間の運転ではベテランドライバーでも事故を起こすことが多いのですが、運転に慣れていない「運転初心者」は視野が狭くなる傾向があると言われており、周囲が見えにくくなっているために事故を起こすケースが多いようです。
また、夜間は交通量が少ないことや、スピード感覚が分かりにくいことから、「運転初心者」はスピードを出し過ぎて事故につながることもあります。
【3】カーブ時の衝突事故
「運転初心者」にとっては、どの程度のスピードでカーブを曲がれば良いのか、どのタイミングでハンドルを切るのか、ハンドルをどの程度切るのかが分かりにくいと言われています。
そのため、十分にスピードを落とさないままカーブに侵入して、対向車やガードレールなどに衝突してしまう傾向があります。
仮に合宿免許卒業者の事故率が高いとすればどんな理由が考えられる?
仮に合宿免許で事故率が高くなるとすると、次の2つの理由が考えられますので、順に説明します。
【1】慣れない道路を運転するから
まず、合宿免許の場合は居住地から離れた教習所で免許を取ります。
つまり、免許取得後に運転するような道路で練習ができないということが多々あるということです。
たとえば、都会に住んでいる人が、自然豊かな田舎やリゾート地で免許を取得した場合、すぐに交通量が多い都会の道路をうまく運転できるとは考えられません。
乗り慣れていない道路を運転することになってしまうため、事故率が高くなるという理由は考えられます。
【2】運転するまでに期間が空くから
合宿免許で免許を取得してから実際に運転をするまでに期間が空いてしまい、運転感覚が鈍ってしまって事故を起こしやすくなることは考えられます。
たとえば、普通自動車の免許は18歳から取得できますので、高校卒業に合わせて合宿免許で免許を取った場合でも、卒業後すぐに運転を始めるケースは少ないでしょう。
そして数年後に運転を始めようと思っても、運転技術が落ちていて事故を起こしてしまうということは考えられます。
知識や技術レベルは合宿も通学も同じ!安心して免許を取得しよう!
この記事では、合宿免許に関する「合格基準が甘い」「事故率が高い」という噂に関する検証結果を紹介しました。
記事の中でも説明したように、「合宿免許の合格基準が甘い」「合宿免許の卒業生の事故率が高い」などということはありません。
いずれも、客観的なデータも根拠もないネット上の噂に過ぎず、合宿免許も通学免許も得られる知識レベルや技術レベルに差はありません。
合宿免許には通学免許にはない多くのメリットがありますので、根拠のない噂に振り回されることなく合宿免許の検討をするようにしてください。